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■ イヌとヒトに共通して緑内障の発症に関わる遺伝子「SRBD1」の特定
平成25年9月11日
学校法人麻布獣医学園 麻布大学
横浜市立大学医学部 眼科学教室
株式会社メニコン 総合研究所

 この度、麻布大学、横浜市立大学、株式会社メニコンが共同で進めてきた「イヌ緑内障の遺伝要因の解明に関する研究」の論文が科学雑誌「PLOS ONE」に掲載されましたので、ご報告申し上げます。
 本研究では、イヌの緑内障感受性候補遺伝子としてSRBD1遺伝子を同定しました。 SRBD1遺伝子はヒトの正常眼圧緑内障感受性遺伝子として日本緑内障学会より報告されており、SRBD1遺伝子がイヌとヒトに共通した緑内障の遺伝要因となることが示唆されました。 今回の発見によって、SRBD1遺伝子変異を用いたイヌの緑内障遺伝子診断が可能になるとともに、イヌとヒトの両者において緑内障の病態の解明や有効な治療法の開発が進むことが期待されます。


  • <研究代表者>
    麻布大学 附属動物病院 検査部長 印牧信行
    横浜市立大学医学部 眼科学教室 主任教授 水木信久
    株式会社メニコン 総合研究所 主席研究員 今安正樹
  • <論文名>
    Dogs and Humans Share a Common Susceptibility Gene SRBD1 for Glaucoma Risk
  • <論文名(日本語)>
    イヌとヒトに共通する緑内障感受性遺伝子SRBD1
  • <著者>
    印牧信行(1)、テデレ・キサオ(2)、今安正樹(2)、川原井晋平(3)、阪口雅弘(3)、吉野惇志(4)、伊藤典彦(4)、目黒明(4)、水木信久(4)
  • <所属>
    (1) 麻布大学附属動物病院
    (2) 株式会社メニコン総合研究所
    (3) 麻布大学獣医学部
    (4) 横浜市立大学医学部眼科学教室
  • <掲載雑誌>
    PLOS ONE 2013
  • <研究概要>
     緑内障は眼圧上昇等により網膜や視神経が圧迫され、眼疼痛、視野狭窄、視覚障害がもたらされる眼疾患である。日本緑内障学会が行った大規模な疫学調査(多治見スタディ)によると、緑内障は本邦における失明原因の第1位(有病率は40歳以上で5%)であり、加齢により有病率が増加することが知られている。この調査で緑内障が発見された患者の中で実際に緑内障と診断されたのは1割に過ぎず、自分が緑内障であることを知らずに過ごしている患者が多いことが判明している。
     イヌの緑内障としては原発性開放隅角緑内障が一般的であり、柴犬とシー・ズー犬が好発犬種である。これらの犬種における緑内障の発症メカニズムや遺伝的要因(疾患感受性遺伝子)などの遺伝学的背景に関する知見はほとんどない。 
     本研究では、緑内障および健常な柴犬とシー・ズー犬を用いて、SRBD1遺伝子の5か所の一塩基多型(SNP)の解析を行った。その結果、柴犬において、SRBD1遺伝子の第4エクソン上に位置するSNP(rs22018513)が緑内障と有意な相関を示し(P値=0.00039)、rs22018513がもたらす緑内障発症リスク(オッズ比)は3.03倍を示した。また、シー・ズー犬においては、第1イントロン上に位置するSNP(rs9172407)が緑内障と有意な相関を示し(P値=0.0014)、rs9172407がもたらす緑内障発症リスクは5.25倍を示した。 これらの結果より、SRBD1遺伝子内のSNPが柴犬とシー・ズー犬の緑内障発症に大きく関与している可能性が示唆された。なお、ヒトでは、SRBD1遺伝子が正常眼圧緑内障の疾患感受性遺伝子であることが日本緑内障学会より報告されている(Ophthalmology 2010;117:1331-1338)。
     以上より、SRBD1遺伝子はヒトとイヌの緑内障に共通した疾患感受性遺伝子である可能性が高い。将来、SRBD1遺伝子のSNP検査(遺伝子診断)によりイヌの緑内障発症リスクを高い精度で予測できるとともに、イヌのSRBD1遺伝子の解析データを有効に活用することで、イヌとヒトの両者において緑内障発症メカニズムの解明や有効な治療法の開発が進展する可能性が示唆された。