運動精子の選別方法としては、密度勾配遠心法など遠心分離を利用する方法が挙げられますが、遠心分離によって精子が大きな重力を受けることから、精子に物理的な損傷を与える懸念があります。一方、遠心操作を加えることなく、運動精子のみを回収することができる方法として、従来からMS法が提案されてきましたが、回収濃度や回収量が少ないなどの問題がありました。こうした課題を解決するため、MS法を一から見直し、簡便で高い回収効率が得られ、かつ精子にやさしい運動精子選別装置「ミグリス」を開発しました。
●ミグリスの原理 MS法
MS法は1983年に報告された運動精子選別方法で1)、国内でも研究報告がなされています2)。このデバイスは、チューブ状の容器内にさらに管状の内管が挿入された構造を有しています。内管の外側(精液注入部)に精液を注入後、内管内に培養液を溢れさせ精子を覆う程度まで注入すると、運動精子のみが内管の壁を乗り越え、内管の底部に集まります。
1) Tea N. T., et al.: A“migration-gravity sedimentation”method for collecting human motile spermatozoa. Pathol. Biol. (France) 31/8, 688, 1983
2) Tatsumi,K., et al.: AIH Using the Sperm Collected by the“Migration-Gravity Sedimentation”Method. Jpn. J. Fertil. Steril., 33(3), 645-650, 1988
項目 | 内容 |
---|---|
寸 法 | 外径46mm×高さ34mm |
適用精液量 | 3.0mL以内 |
回収液量 | 0.4mL |
材 料 | シクロオレフィンポリマー |
パーツ | 本体、スペーサー、内蓋、外蓋 |
滅 菌 | ガンマ線滅菌済み(ディスポーザブル) |
採取した精液を液状化し、精液注入部に添加します。液状化精液量が少ない場合は選別液にて希釈、もしくは付属のスペーサーを設置します。
内蓋を本体から浮かないようにセッティングします。
選別液を内管にゆっくりと添加します。このとき精液を完全に覆うまで添加してください。
外蓋を被せて1時間静置します。このとき本体は出来るだけ揺らさないように注意してください
内管底部から0.4mL選別液を回収します。
直射日光を避け、室温で保管してください。
1箱6個入り
「ミグリス」の取扱説明書、商品パンフレットはこちらからダウンロードしてください。
●ミグリス取扱説明書を改訂しました 2020年11月